私立教員は副業できる?高校・大学の規則と仕事選びのポイント

公開日:2026/10/26
私立教員は副業できる?高校・大学の規則と仕事選びのポイント

私立教員として働きながら副業をしたい人や、兼業できる学校への転職を考える人もいるでしょう。私立学校の教員に共通する一律の副業禁止ルールはなく、勤務先の規程と仕事内容の確認が必要です。高校・大学での手続き、副業の種類ごとの注意点、求人を見る際の質問まで整理します。

私立教員の副業は一律禁止ではなく勤務先の規程で決まる

私立教員の副業は、勤務先の就業規則や兼業規程によって扱いが異なります。希望する仕事が届出や承認の対象か、労働契約書も合わせて確かめます。私立高校と私立大学、専任と非常勤でも適用される規程は異なります。

厚生労働省は副業・兼業を原則認める方向を示す一方、労務提供への支障、秘密の漏えい、競業による利益の侵害、信用の毀損がある場合の制限も整理しています。

私立高校・中学校では就業規則と雇用契約を先に確認する

同じ私立高校教員でも、専任、常勤講師、非常勤講師で適用される規程や勤務時間が異なる場合があります。「副業禁止」の文言だけでなく、兼業の定義、届出・承認の手続き、対象となる業務と時間帯を確認しましょう。学園全体の規程とは別に、所属校の取扱いがある可能性もあります。

一例として学校法人立命館の公開兼業規程は、大学教員等と附属校教員を対象に含め、兼業を承認制とし、所定労働時間外で本務に支障がないことなどを基準にしています。

私立大学教員も「副業禁止」と一括りにはできない

私立大学の教授・准教授・講師などの兼業可否は、所属大学の規程と職位ごとの取扱いで確かめます。外部での非常勤授業、企業への助言、講演、執筆は、活動ごとに申請区分を確認します。研究活動の延長に見える仕事でも、大学の知見や資産を使うか、別の組織と雇用契約を結ぶかによって手続きが変わり得ます。

立命館の公開規程は他大学非常勤講師などの承認区分を定めています。一方、兵庫医科大学の公式案内は、非常勤職員を除く教職員は理事長の許可なく兼業に従事できないと説明しています。一般論で判断せず、勤務先や応募先の現行規程を確認しましょう。

公立学校の教員とは確認する規則が違う

公立学校の教師等の兼職兼業には、地方公務員としての制限や任命権者の取扱いが関わります。文部科学省も公立学校の教師等が地域クラブ活動に従事する場合の手引きなどを案内しています。公立教員向けの説明を私立学校にそのまま当てはめると、勤務先固有の条件を見落とします。

転職前は応募先の規程、現職で副業を始める前は現在の勤務先の規程を確認し、複数校を設置する法人では共通ルールと所属校の運用の両方を尋ねましょう。

副業を始める前に規程・申請・契約の範囲を確かめる

副業を始める前に、勤務先の規程を読み、仕事内容を具体化したうえで必要な手続きを確認します。「副業可」とあっても、仕事の相手、時間帯、業務内容を示して届出・承認の要否を確かめましょう。

「届出」と「承認」は違うため提出時期まで読む

届出制は所定の内容を知らせる手続き、承認制は開始前に判断を受ける手続きです。求められる内容には、副業先、業務の種類、従事時間、報酬、契約形態などがあり得ます。厚生労働省の案内も、まず勤務先のルールを確認し、副業先が決まったら規程の方法で届け出る流れを示しています。

規程に「副業」の語がなければ、兼業、営利事業、他の職への就任、外部講師などの項目も読みます。不明なら仕事内容と頻度を記して人事担当や所属長に確認し、承認の有効期間や活動変更時の再申請も確かめましょう。

無報酬や単発の活動も「兼業」になり得る

報酬の有無だけでは、申請の要否は決まりません。立命館の公開規程は、報酬の有無を問わず本務以外の職や事業・業務を兼ねる場合などを兼業と定義しています。講演や本務に付随する執筆をどこまで対象にするかは、勤務先ごとの規程で見ます。

ブログや動画の発信でも、趣味の投稿、広告収益を伴う発信、学校名や授業資料を使う発信では確認点が変わります。単発の講演も、依頼者、内容、資料の権利、勤務時間内の対応有無を整理しておくとよいでしょう。許可不要な活動でも、生徒・学生の情報を扱う場合は別の規程が関わります。

副業先との契約形態も確認する

他校に雇用される非常勤講師と、個人で教材制作を請け負う場合では、労働時間管理や報酬の扱いが異なります。契約書に「業務委託」とあっても、実際の働き方によって労働契約に当たるかが判断されます。本務先へ説明するときも、雇用契約か請負・委任かを明らかにします。

仕事の範囲が曖昧なら、保護者対応、教材準備、会議、採点、原稿修正回数などを確認します。単価や担当コマ数だけで比べると、準備時間を見落としやすいためです。現在の学校と副業先の双方に必要な手続きを確認してから開始日を決めると進めやすくなります。

副業の内容が本務や生徒に与える影響も確認する

規程上は申請できる仕事でも、授業・校務と両立できるか、情報や利害の扱いに問題がないかで判断が変わります。教育関係の仕事では、現在の学校や生徒との利害関係、業務の重なりを確認します。

授業・校務の予定と休息を含めて時間を見積もる

副業に使える時間は、授業のない時間ではなく、本務の準備や会議も含めて確保できる時間です。私立高校では会議、入試対応、学校行事、大学では授業・研究・学生対応が重なる時期があります。繁忙期に副業先へどこまで対応できるかも考えましょう。

二つの勤務先で雇用される形の副業では、労働基準法上の労働時間の通算が原則として必要です。業務委託などでは通算対象かどうかが異なりますが、長時間の就業が健康や本務に影響しないかの確認は欠かせません。

生徒・学生の個人情報と教材の取扱いを分ける

本務で知った個人情報や未公開の教材・進路情報を副業に使う場合は、勤務先の規程と利用権限を先に確認します。自校の生徒を個人の家庭教師として受ける、校内教材を外部講座で使う、在学生の事例を発信する場合は、守秘義務と利害関係を確かめましょう。匿名化していても関係者に推測される情報には注意が必要です。

厚生労働省のガイドラインも、企業秘密の漏えいや競業による正当な利益の侵害を制限理由に挙げています。対象者、教材の出所、学校名の表示、機材・アカウントの利用範囲を具体的に示すと、相談が抽象論で終わりません。

私立教員が検討できる副業は業務ごとに条件が異なる

副業を選ぶ際は、活動時間と本務先との利害関係を先に確認します。候補ごとに対象者と契約内容を整理し、勤務先の規程に照らしましょう。

他校の非常勤講師・塾講師・家庭教師

教える経験を生かすなら、他校の非常勤講師、学習塾やオンラインの講師、家庭教師が候補です。授業時間が重ならないことに加え、自校の生徒との接点や競業の扱いを確認します。他校の非常勤は雇用契約を伴う場合があり、労働時間の通算や本務先への申告も論点です。

塾講師なら準備、採点、保護者対応の有無を、家庭教師なら生徒の募集方法、学校名の使用、個人情報の管理を確かめます。近隣で同じ生徒層を対象にする場合は、競業の扱いを先に確認しましょう。

教材制作・執筆・講演・オンライン発信

教材の執筆や教育分野の記事制作、研修での講演などは、授業時間と重ねずに進められる場合があります。ただし、学校の授業資料や校内データを私的な案件へ持ち出せるかは別の問題です。発注者との契約で、著作権、校正の回数、氏名・所属の表示方法も確認します。

オンライン発信では、質問対応やライブ配信が本務とぶつかる場合があります。勤務先の見解と個人の見解の区別、生徒・学生が特定されない表現に配慮し、収益の規模にかかわらず届出・承認の対象かを確認しましょう。

大学教員の外部講義・委員・企業での活動

私立大学教員には、他大学での講義、公的機関の委員、企業への助言など研究分野とつながる依頼があります。同じ外部活動でも、大学ごとに承認者や審査区分が異なります。依頼状、従事時間、報酬、研究との関係を整理してから学内の窓口に確認します。

企業の顧問や技術アドバイザーを引き受ける場合は、兼業許可と研究上の利益相反を別々に確かめます。立命館大学の公式資料では、営利企業の役員や研究成果を活用する企業の役職などについて、利益相反委員会が扱う兼業申請を案内しています。これは一つの大学の制度例のため、所属大学の兼業規程と利益相反窓口の両方を確認しましょう。

副業を見据えた私立教員の求人は規程と実際の業務を両方見る

副業できる職場を探すなら、求人票の記載に加え、応募先の兼業規程と実際の勤務予定を確認します。希望する副業の内容と時間が、応募先の規程や勤務予定に合うかを確かめましょう。

求人票の「副業可」は対象範囲と申請方法まで聞く

希望する活動の届出・承認条件は、求人票と選考中の説明で確認します。「他校の非常勤授業を週に数コマ担当したい」と具体的に伝え、許可・届出の要否、審査する人、入職後いつから申請できるかを尋ねます。同じ法人でも、専任教員と非常勤講師で適用される規程が異なることがあります。

現職を続けながら私立学校の非常勤求人に応募する場合は、受入先の応募要件だけでなく、本務先の副業規程も満たす必要があります。担当コマ、行事参加、採点・会議の有無、勤務日固定かどうかを確認し、現職の繁忙期と照らし合わせます。教員免許の種類や必要経験も求人ごとに確認しましょう。

雇用される形で二つの勤務先を持つ場合は、双方の労働時間を通算して管理する原則があるため、予定する勤務時間を正確に伝えることが必要です。双方の承認や契約開始時期が合わないと、求人が「副業可」でも予定した働き方を始められません。

授業以外に広報や校舎運営を担当する求人もある

教員・メンターの求人では、担当業務と勤務時間の内訳を確認します。学校によっては、授業や学習支援に加えて生徒募集の広報、保護者との連絡、校舎運営、イベント対応も担当範囲に入ります。通信制高校でも、仕事量は担当範囲と学校の体制によって変わります。

2024年4月から、募集時などに明示する労働条件に、従事すべき業務と就業場所の変更範囲等が追加されています。副業の時間を確保したいなら、担当業務の内訳と繁忙期の勤務を質問しましょう。

応募から入職までに確認する順序

副業を条件にする場合は、応募前に候補を絞り、面接で運用を聞き、入職前に書面で確かめる流れが実務的です。

・求人票で雇用形態、授業以外の担当業務、勤務日・時間、業務と就業場所の変更範囲を確認する
・希望する副業の内容、相手、週あたりの時間、契約形態を整理し、届出・承認条件を質問する
・選考中に確認した運用と、入職前に示される就業規則・労働条件を照合し、開始時期まで含めて判断する


求人票にない事項を質問すること自体は通常の条件確認です。副業の可否だけでなく、担当予定の仕事を具体的に示すと、両立の見通しを確認しやすくなります。

副業と転職についてよくある疑問

税務上の申告、教員免許、転職先の探し方は、副業の許可とは別々の判断です。それぞれの確認先を分けて整理します。

副業収入が少額なら学校への申請は不要?

学校への届出・承認は、収入額だけでなく、兼業規程に定める活動内容や報酬の扱いで確認します。所得税の確定申告の要否とは別の話です。国税庁の案内では、給与を二か所から受ける場合と、給与以外の所得がある場合で申告の判定条件が異なります。なお、税務上の「20万円以下」は学校の副業許可基準ではありません。確定申告は国税庁・自治体の案内を、兼業の手続きは勤務先の規程を確認しましょう。

教員免許があれば副業で教えられる?

免許の保有と、勤務先が副業を認めるかは別の条件です。他校の授業を受け持つなら、希望する教科・校種で応募できるか、勤務時間が重ならないか、現在の学校が他校での兼業を認めるかを分けて確認します。学校外の教材制作などを選ぶ場合も、必要な経験と現職の兼業規程を確かめましょう。

今の学校で副業が難しい場合、転職先をどう探す?

まず、収入を増やしたいのか、教える対象を広げたいのか、研究や制作を続けたいのかを具体化します。「副業可能」の表示だけで決めず、やりたい活動と本務の時間・業務を両立できるかを比較しましょう。通信制高校を含む教育業界への転職を考える人は、教育キャリアナビで求人や働き方を相談できます。公式サイトでは、通信制高校教員の転職支援に加え、求人票から分からない職場の雰囲気・働き方の情報提供と、直接聞きにくい事項の確認代行を案内しています。副業を希望する場合は活動内容を伝え、各校の兼業規程を個別に確認しましょう。

私立教員の副業は勤務先の規程と希望する仕事で判断する

私立教員が副業できるかは、勤務先の兼業規程と希望する仕事内容で決まります。私立高校・大学のどちらでも、雇用形態、申請区分、授業外の業務、労働時間、情報と利害の扱いを確認しましょう。

現職で始めるなら、活動先・仕事内容・契約形態・報酬・週あたりの時間を整理して届出や承認の要否を確かめます。これから求人を探すなら、「副業可」の表記とともに、授業以外の業務や勤務日・時間、兼業手続きの運用を確認します。求人によっては広報や校舎運営も担当するため、副業を続けられる時間があるかまで確かめると、納得して応募先を選びやすくなります。

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